DS-103Mで庫内の上部と下部の湿度差を計測

防湿庫D-strageは防湿庫内に空気を循環させるファン等の装置はございません。
防湿庫の扉を閉めた状態の場合、原則、庫内の空気はほとんど動かないので、防湿庫内の位置により湿度に多少のバラつきが生じてると考えられます。

実際に庫内の上部と下部で湿度を計測し、どの程度の差が生じるか計測してみました。

今回、計測に使用した機種はDS-103M(内容量100L)です。
弊社の防湿庫のラインナップの内、この機種が庫内の上部と下部の湿度差が、最も大きくなるものと予想できます。

防湿庫D-strage DS-103M

DS-103M(後継モデルDS-104M)は、除湿ユニットを1基搭載しているモデルの内、最大収納容量の機種で、庫内の縦の長さは690mmと現ラインナップで最長です。
なお、DS-134MおよびDS-135Mは収納容量はDS-103Mより大きいですが、二つ扉があるモデルで除湿ユニットを上下2基搭載しているので、庫内の湿度差は小さくなるのではないかと思われます。

計測に用いる計器の種類と精度

今回の計測に用いる計器は、防湿庫D-strageの湿度センサーの検品にも使用しているチノー社の温湿度カードロガーです。

計器の湿度指示精度は±3%(温度条件25℃+2℃)です。

今回使用した計器の詳細は、当ブログの「防湿庫D-strageの湿度表示精度と検査方法」にてご確認ください。
防湿庫D-strageの湿度表示精度と検査方法|基準としている計器の種類および精度に関して

予めそれぞれの計器に誤差がないか、同一の条件下で同じ値を示していることを確認ししておきます。

温湿度カードロガー

上記写真の通り湿度は同じ値を示しています。
温度は0.1%差でしたので、許容範囲とします。
なお、日時表示は合わせてませんので、バラバラになっています…。

計測方法

防湿庫の扉を一旦あけて、30分程度放置しておきます。
30分経過後、防湿庫の最上段(上部)と最下段(下部)に温湿度カードロガーを設置して扉を閉めます。

扉を閉めた段階でのそれぞれの指示値は下記の通りでした。

防湿庫上部 38%
防湿庫下部 38%
防湿庫D-strage DS-103M表示 39%

防湿庫の湿度設定を30%にして、防湿庫の扉を閉めた後、30分単位で庫内の上部と下部の湿度変化を計測します。(計測時間8時間)

計測結果


計測結果より考察

最も防湿庫内の上部と下部で湿度の差が大きくなると予測していたDS-103Mの場合、上部と下部の差は平均5.1%で、防湿庫の下部の方が湿度が高いという結果になりました。

除湿運転を行っている段階では、除湿ユニットが本体のやや上部に搭載されていることもあり、上下の湿度差が7%あることもありますが、防湿庫の設定湿度まで下がった後(2時間30分~8時間後)は、上部と下部の湿度差は4-5%(平均値は4.6%)で落ち着いています。

防湿庫D-strageの湿度センサーは庫内最上部の湿度表示部基板に搭載されています。
今回の計測結果より、防湿庫D-strageの湿度表示は上部に設置した計器と1-2%の表示差でほぼ近い数値を示すことから、仮に今回計測に使用したDS-103Mを40%設定で使用した場合、設定湿度の40%まで下がった状態で、防湿庫の上部はだいたい同じ41-2%、下部で43-45%程度ではないかと予測できます。

なお、防湿庫D-strageの湿度センサーの表示精度は「±5%(温度条件20-25℃)」です。防湿庫D-strage DS-103Mを実際にご使用いただいている方は、±5%程度のバラつきを考慮した上で、庫内のそれぞれの位置の湿度を把握する際の参考にしていただければと思います。

DS-103M以外の機種の場合

今回はDS-103Mで計測を行いましたが、DS-103Mより庫内スペースが小さいモデルは、上部と下部の湿度差は小さくなる可能性が高いと予測できます。

また、DS-103M後継モデルのDS-104Mは、サイズが同一で除湿ユニット1基とDS-103Mとほぼ同じ仕様のため、同様の結果になるものと推測できます。

庫内上部と下部の湿度差によるカビ生育の心配は?

おおよそ湿度60%以上がカビの生育条件であることを考えると、仮に防湿庫の設定湿度40%で使用している場合、防湿庫の下部が45%であってもカビの生育を心配する湿度ではありません。
防湿庫の設定は何%にしておけばカビが発生しないの? カビについての基礎知識 カビ生育編

今回の条件では、上記のような結果となりましたが、温度条件等が変わればまた結果が違ってくる可能性も大いに考えられます。
また、庫内に湿気を含んだものを下部に収納している場合などは、異なる結果なるものと思われます。

温度差の影響を受けた可能性

今回の計測の際、設置場所がややエアコン等の影響があったのか、防湿庫内の上下で常に1.5℃程度の温度差がありました。
計測前の段階では両計器の温度差が0.1%であったことを考えると、もともとそれぞれの計器に誤差があったという可能性は低そうです。実際に今回の計測時に庫内の上部と下部で温度の差があったものと思われます。

温湿度カードロガーと防湿庫

写真は計測開始後30時間以上経過した状態での各計器の状態を撮影したものです。
写真の右の計器が防湿庫上段、左の計器が防湿庫下段の湿度と温度の値です。

防湿庫上部 湿度26% 温度25.0℃
防湿庫下部 湿度30% 温度23.6℃
防湿庫D-strage DS-103M表示 31% (温度は24℃)

それぞれを絶対湿度(単位容積あたりの空気中に含まれる水蒸気量)で計算し直してみると、下記の通りになります。

防湿庫上部 6.00g/m3
防湿庫下部 6.39g/m3

上記の通り、絶対湿度で比較してみるとその差は0.39gとなります。
※絶対湿度の算出には「株式会社MTI 単位変換ツール 絶対湿度と露店湿度」を使用させていただきました。

仮に防湿庫の上部の温度が25℃ではなく23.6℃であった場合、絶対湿度が6.00g/m3のであれば、その時の相対湿度は約28%になります。
温度の条件を揃えた場合の上部と下部の湿度差は約2%となります。今回の計測の場合、防湿庫内上部と下部の温度差が無ければ、計算上では4-5%の差ではなく2-3%の湿度差となるはずです。

またの機会に温度条件や機種を変更して、計測してみたいと思います。