ホームセンターや電器店などで販売されている湿度計にも、さまざまな種類があります。100円均一ショップで販売されている100円のものから、産業用や研究用に使用される10万円以上するものまで、それぞれに「簡便さ」「正確さ」等の特徴があります。

数個の湿度計を使用している場合、それぞれが示す値が異なり、どの湿度計の値が正しいのか分からなくなることもあります。(湿度計を購入しに行くと店頭に並んでいる湿度計の示す値が、それぞれ異なり5~10%程度の差があることは少なくありません。)
また、今まで使用していた湿度計が信用できなくなり、正しい値を示しているのか不安になることがあります。
その際は使っている湿度計の種類やそれぞれの特徴、耐用年数(寿命)などを確認することが重要です。

以下が、主な湿度計の種類と特徴です。

アナログ式湿度計

アナログ式湿度計

毛髪、ナイロン、金属、フィルムなどが湿度により伸縮する性質を利用して、針を動かして湿度を計測する仕組みです。
代表的なものとして「毛髪式」や「バイメタル式」の湿度計があります。

一般的にアナログ式湿度計は空気中の水蒸気に反応して伸縮するまで時間がかかるため、反応速度は遅く計測に時間がかかります。

毛髪式湿度計

毛髪の空気中の水蒸気を吸収および発散により伸縮する性質を利用し、指針を動かす仕組み。気象観測にも用いられる。

精度はあまり高くないが、構造が簡単で安価であることが特徴です。

感湿材である毛髪に埃が付着すると精度が落ちる。また、毛髪は乾燥した状態では伸縮にバラつきが生じるため、低湿度での正確な計測は困難と言われています。

比較的簡便で取扱いが易しく、連続して自記記録できる特徴を持っている。良好な状態で用いた場合は誤差が±3%程度の精度が得られるが、低温・低湿時の精度はこれよりかなり悪い。また、汚れの影響を受けやすい、湿度が上昇するときと下降するときで毛髪の伸縮に差異があるといった短所がある。

気象庁 –気象庁 気象観測の手引き-(25頁 5.2.2 毛髪湿度計)

バイメタル式湿度計

測定部分は、湿度の変化により伸縮する素材(感湿材)を金属の薄板に貼り合わせ、ゼンマイ状に巻いたもの。

湿度の変化により感湿材は伸縮し、金属は伸び縮みしないため、ゼンマイが巻いたり戻ったりすることにより指針を動かします。

構造が単純で安価なため家庭用として広く普及していますが、誤差が10%RH以上生じる場合があるなど精度はあまり高くありません。
毛髪式と同様に埃の付着で精度が落ち、数年でゼンマイ状のコイルが劣化します。また、落下等の衝撃により指針にズレが生じることもあります。

広く一般的に家庭用として販売されているアナログ式の湿度計の多くはバイメタル式です。

バイメタル式湿度計は精度が求められる計測にはあまり用いられません。

電気式湿度計(デジタル)

デジタル湿度計

半導体等を用いたセンサーで湿度を計測します。
一般的なものとして「電気抵抗式」と「静電容量式」の二つが挙げられます。

安価な家庭用から気象観測用や産業研究用の高価なものまで、同じ電気式の湿度計であってもその品質は異なります。

アナログ式と比較して反応速度が早いのが特徴です。

電気抵抗式湿度計

相対湿度によって湿度検出素子の抵抗値が変化する湿度素子が使用されたもの。

特に20%RH以下の低湿度では誤差が大きくなり測定不能になることや、高温では素子が劣化してしまうことがあります。

静電容量式湿度計

高分子膜の表面に真空蒸着によって薄い網目状の電極を設けたコンデンサの形態になったもの。

水蒸気が電極を通して高分子膜に吸着すると、このコンデンサに電気を蓄え、その電気容量(静電容量)の変化をとらえる仕組みです。

応答速度が速く、低湿度測定にも優れた静電容量式は精度が高いことから、産業分野などで広く使用されています。

湿度計の耐用年数(寿命)

アナログ式の湿度計は短いもので1年、長いものでも5年程度が耐用年数と言われています。

温湿度計の寿命は、センサーの種類や使用環境にもよりますがおおむね3~5年程度はご使用頂けます。

エンペックス気象計株式会社 –よくある疑問・質問-

デジタル式もアナログ式と同様に湿度検出素子に寿命があり経年劣化します。
具体的な年数は分かりませんが、使用により劣化することを考慮する必要があります。

Q:湿度素子の寿命はどれくらいですか?
A:湿度素子は測定環境によって著しく性能が劣化することがありますので寿命期間は申し上げられません。

株式会社チノー –サポート技術情報 FAQ-

湿度計使用時の注意点とメンテナンスの必要性

湿度の計測は温度の計測と比較して、正確な計測が難しく、湿度計の種類によりその精度も考えて使用する必要があります。

毛髪製湿度計の検定公差は、個別の器差について湿度五パーセント、極差について湿度七パーセントとする。

気象業務法第9条の検定の対象となる気象測器の検定の合格基準を定める告示 -第三節 毛髪製湿度計(検定公差)第八十五条- 22ページ

上記の通り、正確性が求められる気象業務に用いられる毛髪式の湿度計でも、極差(測定器の全範囲指示について器差を求めた場合の、器差の最大値と最小値との差)7%が許容される条件で、正確な湿度計測が難しいことが分かります。

例として毛髪式のアナログ湿度計を挙げましたが、湿度計の種類ごとに特性があり、温度や湿度の条件によって、正確に測ることができる場合とそうでない場合があることに注意が必要です。

なお、研究用や産業用に用いられ、正確な計測が求められる高価な湿度計は、その表示精度が正しいことを証明する「校正証明書」や「トレーサビリティ証明書」等の校正関連の書類が付属します。(また、高価な電気式湿度計であっても「温度条件がX℃±2℃の時に±3%以内」といったような限られた温度条件での指示精度証明書がほとんどだと思います。)

上記の「校正証明書」や「トレーサビリティ証明書」が付属していない湿度計については、正しい湿度を表示しているかの判断が困難なので「湿度の目安」程度の感覚で、ご使用いただいた方が良いと思います。

また、安価な湿度計に限らず高価な湿度計であっても、湿度計は数年で劣化します。
アナログ式の場合は感湿材が、電気式の場合は湿度センサーが劣化するので、数年毎の買い替えや感湿材やセンサーの交換や校正サービス等※、定期的なメンテナンスが必要です。(※メーカーによっては計器の精度を、標準器と比べて正すサービスを行っている場合があります)また、あまり一般的ではありませんが、メーカーの校正サービスを利用せずに、ユーザー自身で乾湿計を使用して注意深く観測することにより、比較的正確な湿度を計算し、メンテナンスの際の基準値として使用している湿度計が正しい値を示しているか確認する方法もあります。

湿度計測する際は、湿度計の種類やその特徴と精度や使用年数などを考慮した上で使用し、ある程度の目安の値とするのか、正確な値とするのか判断する必要があります。